落し物を拾ってくれた人へのお礼は義務かどうかの問題について
2018.5.24
財布や定期券を落としてしまったら焦ってしまいますよね。落とし物をしたらまず警察に紛失届を出しましょう。もしかすると警察に届いている場合もあります。
落とし物を拾ってくれた人へのお礼はどこまで必要なのか知っていますか?「落とし物のお礼は1割のお礼」と思っている人も多いのではないでしょうか。
落し物へのお礼は義務?落とし物をした場合の謝礼について調べてまとめてみました。
この記事の目次
落し物に対してのお礼!義務はあるの?相場は?
落し物を拾ってくれた人(取得者)へのお礼(謝礼)は、法的に義務となっています。しかし、返還してから1カ月を経過後は、請求できないと法的に決まっています。
もし取得者へ何かお礼がしたいという場合は、まずは警察に相談しましょう。お相手の人が謝礼を希望しているかどうかを確認してももらうのです。希望しているということであれば、菓子折りやギフト券等何か希望があるかを聞いてみましょう。
食品を渡すのであれば、賞味期限が長いもの(日持ちするもの)を選ぶと良いでしょう。例えばクッキーやゼリー、お茶やコーヒーなどがよいのではないでしょうか?
ギフト券であれば、デパートの商品券やいろいろな場所で使える商品券のようなものがよいでしょう。お米券もおすすめです。
取得者が年配の人や立場の違う人であれば、最初にお礼の連絡を入れた方がよいでしょう。そして「何かお渡ししたいですが・・・。」と言ってみましょう。希望の物を聞いてみるか「〇〇をお送りさせていただこうと考えておりますが、いかがでしょうか?」と聞いてみるのも良いでしょう。
落し物を届けたらお礼がもらえる?お礼は義務と定められているのか?
落し物を拾ってくれた人へのお礼については、遺失物法によって義務と定められています。
そこには『物件の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格の100分の5以上100分の20以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。』と記されているのです。
もし落とし物を届けた場合は、相手にお礼を請求できる権利があるということになります。しかし、上記でも説明しましたが、返還後1か月を経過した場合は請求できなくなります。
もし手帳やスマートフォンを落とした場合であっても、00分の5以上100分の20以下の範囲のお礼(報労金)となります。データや思い出の価値はお金に換算することはできませんが、法律では上記のように決まっているのです。
報労金の金額が裁判で争われたというケースもあります。しかし、報労金の算定は、裁判所の裁量によって決定できるというのが一般的な実務例となっているようです。
落し物を拾ったらお礼をもらえる義務はこのように決まっている。
拾得者の権利が生じる要件は決まっています。
まずお店などの施設内で落とし物を拾った場合は、拾った日時から24時間以内にその施設に届け出なければなりません。もし屋外(路上など)で拾った場合は、拾った日の翌日から起算して1週間以内に警察へ届け出ることとなっています。施設内と屋外とでは条件が違っています。
お礼(報労金)の金額も、施設内で拾った場合は拾得者と施設占有者がそれぞれ報労金の額の2分の1までと決まっています。
もし落とし主が現れなかった場合は、3か月の保管期間後に拾った物の所有権を取得することができるとなっています。しかし、その所有権を取得した日から2カ月以内に引き取りをしなかった場合は、権利喪失となります。
報労金の受渡しについても警察が関係するかどうかですが、警察は報労金の受渡しに関しては介入できない、となっているようです。
落し物をしてしまったらまず警察に届けよう!
落し物をしてしまった!そんな時は、まず警察へ行きましょう。遺失届を提出するのです。
もし施設内で落とした場合は、施設に確認した方が早いかもしれません。鉄道会社などは各自で保管している場合もあります。
落とし物の情報は、各都道府県警察署のホームページでも検索することができます。
万が一クレジットカードやキャッシュカ―ドを落としてしまった場合は、すぐにカード会社や銀行へ使用停止してもらうよう連絡をしましょう。
落とし物の保管期間は3ヶ月間となっています。しかし、傘や手袋、マフラーなどは2週間以内に落とし主が見つからない場合は売却されてしまうこともあります。
3ヶ月経っても落とし主が見つからない場合は、取得者が所有権を持つことになりますが、その権利を放棄した場合については鉄道会社等の所有物になります。
しかし携帯電話等のような個人情報に関する物については、廃棄処分になるようです。
落とし物をすると個人情報が知られてしまう?
取得者が自分の情報を明かせば、落とした人の個人情報を知ることができると法律で決められています。
「遺失物法」では「警察署長は、拾得者の同意があるときに限り、遺失者の求めに応じ、拾得者の氏名又は名称及び住所又は所在地を告知することができる。」「警察署長は、前項の同意をした拾得者の求めに応じ、遺失者の氏名等を告知することができる。」と規定されています。
落とした人からすると、自分の承諾なしに教えるなんて・・・と思ってしまうかもしれませんね。
でもこれは、拾った人は落とした人からお礼を受け取る権利があるからという理由に基づいているのです。拾った人の権利とも言えます。
お礼の受け渡しに関しては警察が介入できないためとも言えますが、個人情報の開示については慎重に行われるべきでしょう。