着物のカビは〇〇で落とせる?その落とし方を教えます!
2018.5.11
久しぶりに着ようと思ってたんすから着物を出したらカビがついてた・・・そんな場合、自分でカビを落とすことはできるのでしょうか?
もし自宅でカビを落とすなら、どんなものを使えばよいのでしょうか?それとも専門のクリーニング業者に任せた方が安心?
着物にできてしまったカビの落とし方の裏技と専門のクリーニング業者のカビ取りの手順について説明します。
この記事の目次
着物のカビの落とし方・・・軽いものならすぐ落とせます!
長くタンスの中にしまっておいた着物にカビが生えているとショックですよね。カビの状態によっては、軽いカビなら自分で落とすことも可能です。
用意するものは、ベルベットやベロアなどの生地です。毛が立っていて柔らかい生地でカビ部分をこすります。
ベルベットやベロアは短い毛が立っている状態で表面を触ってみるとふわっと気持ちがいいと思いますが、この毛が着物の表面に生えたカビを落としてくれます。想像しているよりも落ちます。
ただし、この方法で落とせるのはカビの表面だけです。カビは繊維の内部までカビの根が張っている可能性もありますしカビが生えてから時間が経ってしまうとシミのようになることもあります。
着ようと思った着物にカビが生えていてクリーニングに出す時間がないという時は、ベルベットやベロアでカビ部分をこすってみてください。その後はクリーニングに出した方が安全です。
ごく短い保管期間にカビが生えている場合もベルベットやベロアでお手入れします。タンスの中にもカビが生えていないか確認しタンスの中を乾燥させてから着物を戻しましょう。
着物のカビの落とし方がわからない・・・そんな場合はプロへ頼もう!
黒留袖についたカビのクリーニング実績
数年前にお母様から譲られた黒留袖を着ようと思ったらカビが生えてシミのようになっていることでクリーニングの相談に来られました。約40年程前の黒留袖で、お母様は結婚式出席の際に何度も着用し、クリーニングに出したり、定期的に虫干ししていたそうです。
カビの状態を見ると白カビでまだそんなに時間が経っていない初期段階のカビというレベルでした。初期段階と言ってもシミになってしまうと部分的なカビ落としだけでは直す事が出来ません。
ブラシを使ってクリーニング洗剤でカビを洗い落とした後、ドライクリーニングを行いカビもシミも落とすことが出来ました。
なお、着物にカビが発生した場合、目に見えている部分以外にもカビの胞子が付いている可能性が高いので着物全体をクリーニングしなければいけません。
子供用羽織についたカビのクリーニング実績
孫の七五三に息子が七五三で着た羽織を着せたいということで、クリーニングに出しに来られました。持ってこられた羽織はシミが茶色く変色してしまっている程でした。
子供が来ていた物は泥はねや飲み物や食べ物の汚れ、汗など大人以上に色々汚れが付く可能性があります。着用後にクリーニングに出したとしても汚れが落としきれていなかったり、定期的にお手入れしていればここまでの汚れにはならなかったかもしれません。
クリーニング洗剤と石油系溶剤、ブラシを使ってシミを一つ一つ落としていき、必要に応じて漂白などもしました。全てのシミをしっかり落とす事が出来ました。
カビ以外にこんなものが着物についてしまった場合の落とし方!
着物についた汗染み
着物を着ていると汗をかいてしまうことがあります。着物を脱ぐときには汗が引いていても、そのままにしておくと変色の原因になりますので必ずお手入れしましょう。
汗が染みてしまった部分は霧吹きで着物の表面に少しだけ水分を含ませて乾いたタオルで上から叩きます。
着物についた化粧品のシミ(油性汚れ)
化粧品は油性のシミのため、ベンジンをガーゼにたっぷり含ませて汚れ部分を叩きます。着物の下にタオルを敷いて、汚れを下のタオルに移すようにします。この時、着物をこすったりしないように注意してください。
着物についたコーヒーや紅茶のシミ(水性汚れ)
中性洗剤を水で15倍ほどに薄めます。着物の下にタオルを敷いて、中性洗剤を薄めた水でシミの部分を濡らします。ガーゼなどで上から叩いてタオルに汚れを移します。
着物についた食べ物のシミ(油性汚れ+水性汚れ)
食べこぼしは油分と水分が混ざった汚れです。油性汚れを落とした後に水性汚れの落とし方を試してください。
シミを落としたら、風通しの良い場所に干して虫干ししましょう。
なお、着物によっては輪染みが出来てしまう可能性もあるので、目立たないところで試してからお手入れした方が良いでしょう。
着物のカビは専門のクリーニング店に任せた方が安心!
着物クリーニング専門業者の多くは以下の手順でカビ取りをしています。
初めに溶剤テストを行って、着物のほつれなどをチェックします。その後、溶剤とブラシで汚れやすい部分をブラッシングして手洗いした後、ドライクリーニングを行います。
ドライクリーニング後にカビの除去を行います。カビが生えている場所が溶剤を使うことで生地を傷めないか確認します。痛めてしまう恐れがあるときは別の方法に切り替えなければいけません。
溶剤が使える場合は、カビが生えている場所を漂白します。漂白作業が終わったら、超音波を発する機械と水ですすぎます。終わったらよく乾燥させます。
漂白すると色が抜けるので、元の色に調合した染料で色付けします。細かい作業になるため時間がかかります。
着物のカビ発生を防ぐための保管方法とは?
カビを防ぐには湿気対策が重要です。
タンスの引き出しの中に新聞紙を敷く人もいます。祖父母の家などで見たことのある人もいるでしょう。新聞紙は吸湿効果が優れていて、インクに防虫効果があるとされ、昔は良くタンスの引き出しの中に新聞紙を敷いていました。衣替えに合わせて年に3回くらい新聞紙を交換して湿気対策をしていました。
今でも新聞紙の効果がないとは言いませんが、新聞紙の除湿効果を発揮していたのは風通しの良い昔の日本家屋だったからです。今の気密性の高い住宅では湿気がこもりやすいので、他の湿気対策が必要です。
除湿剤を使うのがおすすめです。着物専用の除湿剤も販売されています。呉服店などで販売されていますので、防虫剤と除湿剤でしっかりと湿気対策をしましょう。
着物を買うとタトウ紙に包まれていますが、このタトウ紙に入れておけば安心というのは嘘です。タトウ紙にも安物から高級品まであり、高級な物ほど吸湿性に優れています。しかし、品質に限らず入れっぱなしにしておくと湿気を含んでしまうので、年に3回ほどは交換しましょう。
呉服店によってはタトウ紙は移動の時に使うもので、入れっぱなしにするとカビの原因になるからタトウ紙に入れて保管する方法は間違いというところもあります。