出産を機に産休ではなく退職した場合の失業保険について
2018.4.23
失業保険というと、転職をしたり、リストラにより職を失った人だけ申請できるものと思っている人も多いのではありませんか。産休で退職しても失業保険は申請できるのでしょうか。
妊娠中に退職をしたり、産休前に退職をする場合、失業保険の給付の期間延長が出来る場合があります。
そこで産休で退職しても失業保険は申請できるのか調べてまとめてみました。
この記事の目次
産休前に退職する場合失業保険の延長が出来る?
失業保険の受給期間は最長4年まで延長できる
失業給付をうける場合、通常は退職の翌日から1年以内にもらい終えないとなりません。しかし「就職したい意思があり、就職できる能力があるのもかかわらず再就職できない場合」に受給できることになっているので、妊娠、出産、育児で仕事をやめた母親は、就職する能力がないとみなされ、失業給付の対象にはならないのです。妊娠中、産後間もなくの求職は現実的ではないのです。
妊娠、出産、育児で退職する「特定理由離職者」には受給期間を最長4年まで延長できる特例措置があります。退職後にこの延長手続きをしておくと、通常は1年以内の受給期間を最長4年まで延ばすことが出来ます。子育てが落ち着いてから求職する時の助けになります。
失業給付をもらうには手続きをしましょう。
失業給付の期間の延長については手続きをしないといけません。この期間が限られている点に注意しましょう。離職後30日を経過した日から1ヶ月以内になっています。
失業給付の受給期間延長手続きに必要な書類
- 受給期間延長申請書
- 雇用保険被保険者離職票1・2
- 母子手帳
- 身分証明書
- 印鑑
など
教育訓練給付の期間延長の手続き
妊娠、出産、育児などで仕方のない理由で退職する場合、失業給付だけでなく、教育訓練給付についても延長することができます。離職後、雇用保険の延長申請をし、それと一緒に教育訓練給付の延長をすることで、最長4年まで延長が可能になります。
産休ではなく退職した場合の失業保険の手続きの方法
失業保険は「働く意思があり、求職活動をしている」ことを前提とし申請して受理されます。ここで注意しないといけないのは、妊娠が理由で退職した場合「働く意思があっても働けない」とみなされます。
ポイントになるのが妊娠が理由で退職→今は働きたくても働けない→出産後は再度求職活動をするということです。
この意思を表すことで、失業保険を受給する資格ができるのです。
ここでの注意点は働くことのできない出産前には失業保険を受給することはできません。受給できるのは「働ける」出産後になります。
ですので正確には「失業保険の受給期間を延長する」手続きになります。この手続きをすることによって、離職翌日から最大4年間を受給期間に出来るので、退職してから出産まで日にちがあっても安心です。
失業保険を受け取る資格は6ヶ月以上の雇用保険の加入が必要になります。受給期間の延長は離職後30日を経過した日から1ヶ月以内しか手続きが出来ませんので注意が必要です。
産休ではなく出産のために退職した場合失業保険は出る?
妊娠を機に、出産前に退職した場合、次の条件をすべて満たすと出産後に失業保険を受け取ることが出来ます。
雇用保険に加入していなければ失業保険の受給はできない
求職者給付は雇用保険の制度になるので、雇用保険に加入していた事が必須です。条件は「離職する以前の1年間のうち6ヶ月以上加入している」必要があります。離職前に6ヶ月以上会社で働いていれば、受給の資格はあります。
失業保険を受けるには就職活動をする必要がある
「求職者給付」はあくまでも就職をする意思のある失業者に対して給付する制度になります。まず、ハローワークに行き、求職の申し込みをして、就職活動をしないといけません。しかし再就職の意思があっても、実際出産と育児のために就職活動をすることは出来ないので、その間は求職者給付を受け取ることは出来ません。育児が落ち着き、就職活動が出来るようになったら給付を受け取ることができます。
受給期間内に就職活動を再開
求職者は雇用されていた期間によって給付される日数が違います。給付日数1日ごとに日額が給付されます。
雇用期間が10年未満の場合は給付日数は90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日となります。
受け取れる期間には限りがあり、原則として離職から1年以内に受け取る必要があります。このことを受給期間と言います。
産休ではなく退職すると失業保険はすぐもらえるの?
妊娠を機に退職します。今年の年収が130万円を超える見込みなので、夫の扶養に入るのは来年の1月からの予定です。退職したら失業給付を受けようと考えています。すぐに受け取ることは出来ますか?それとも3ヶ月先になりますか?今までは国民健康保険と国民年金に加入していました。これからの健康保険料と年金は安くなりますか?
失業給付の受給資格の1つに、仕事に就ける状況であることがあります。妊娠や出産を理由に退職した場合、退職後すぐに再就職をするとしても実際もうすぐ出産される方を雇ってくれる会社があるとは思えません。「求職活動さえすれば、実際に雇用されなくてもいい」と考える人もいますが、これからどんどんお腹が大きくなっていくのでそのような考えは避けた方がいいでしょう。
妊娠を理由に辞めた人は本来1年以内にもらい終えなければならない失業手当の受給期間を延長してくれる制度が設けられています。1年に3年足して最長で4年以内にもらい終わればよい措置があります。
退職してから失業保険(給付金)をもらうためには手続きが必要
退職後ハローワークで失業保険をもらうために
妊娠、出産で退職する場合、原則としてすぐには失業給付を受け取る手続きが出来ません。理由は失業給付金は本来「すぐに働ける状態で、就職したいと意欲や能力はあるのに就職できない人」に支払いがされるものだからです。妊娠で退職した場合「すぐに働ける状態」ではないと判断されます。
妊娠、出産による受給期間延長の手続き
妊娠、出産によりすぐに働くことが出来ない場合は受給期間の延長を申請することができますので手続きしましょう。